大学教員になるまでのキャリアパスは人それぞれだが,近年,物理・数学系で最も多いのは,大学院で博士号を取得し,いくつかの研究機関で博士研究員(post-doctoral researcher)の職を経て,どこかの大学(多くの場合,出身校ではない大学)に公募で採用されるというコースだと思う.僕自身もこのコースを辿った人間であり,博士号取得後,8年のポスドク生活の間に無数の応募(オーダー100)をして,現所属の大学に拾ってもらった.
ということで,僕は公募戦士の苦しみは知り過ぎる程に知っている.全国で今も戦い続ける戦士の皆様に少しでも有益な情報を載せられたらいいなと思うが,アドバイスめいたことを言うのはなかなか難しい.しかし,事実を伝えるデータの類いなら無益であっても有害なことはないだろうと思う.そこで,大学教員の採用に至るまでに必ず通る面接について,有益かも知れない情報を公開してみる.
教員の採用は,書類審査&
面接審査(ときに
模擬授業を含む)というのが定番だが,公募戦士になりたての人にとっては書類審査を通過した場合,どのくらいの期間で面接通知が届くのかは気になるところである(2013年9月17日追記:精神衛生上,本当は気にしない方がよいことは
こちらの記事に書いたので参照されたし).以下では僕が面接審査まで進んだ大学に関して,応募〆切の日付,面接通知が来た日付,面接の日付を載せてみた.(現所属に関しては載せていない.)
【関東地方・理科系私立大学・助教(テニュア・トラック)】
応募〆切: 9月10日
面接通知: 9月24日(14日後)
面接:10月15日
合否通知:10月19日(不採用)
*
面接は
模擬授業を含んでいた.
【中部地方・工科系私立大学・助教(テニュア・トラック)】
応募〆切: 9月30日
面接通知:10月20日(20日後)
面接:10月28日
合否通知:11月 9日(不採用)
【関東地方・私立大学・助教(5年任期)】
応募〆切: 8月20日
面接通知: 8月28日(8日後)
面接: 8月31日
*
面接の合否通知(不採用)は,年度が終わる頃だったと記憶している.
【関東地方・理科系国立大学・准教授(任期なし)】
応募〆切:10月15日
面接通知:10月24日(9日後)
面接:10月29日
合否通知:11月 8日(不採用)
【関東地方・工科系公立大学・准教授(任期なし)】
応募〆切:10月30日
面接通知:11月19日(20日後)
面接:12月 8日
合否通知:12月21日(採用)
これらの例から見ると,応募〆切の日から
面接通知が来るまでの期間は8~20日で,平均では14.2日となっている.
(追記:2016年5月30日)棒グラフにしてみた。このグラフには現所属のデータも入っているのでサンプル数は6大学。
面接の通知は,電子メール,携帯電話,大学の電話,郵送,さまざまだった.普段は無頓着な人も就活を始めたら携帯電話はちゃんと携帯した方がよい.面接後の合否の通知も,メール,郵送,電話,さまざまだった.ただ,不採用通知を電話で教えてもらったことはなかった.伝える方も気まずいから電話は避けるのだろうか.
採用の倍率は十数倍から百倍を超えるものまで本当に多様だと思うが,だいたい面接に呼ばれるのは2~8人と相場が決まっているらしい.大学によっては面接まで進むと,何人の応募があって,何人に対して面接をしているか教えてくれるところもあった.上で挙げた2つめの大学では,「28人の応募があって,4人の方々に面接をしています」と言われた.「結構少ない応募人数だなぁ」と思ったが,その公募は,実質任期無しの採用でも念のため初めの数年間を任期制(テニュア・トラック)にしていたらしく,倍率が下がっていたようだ.このような公募には既に任期なしの職に就いている人が応募しないためチャンスである.