近所のTSUTAYAで立ち読みしていたら、素人向けの株の本(新書の古本)が100円で売っていたので買ってみた。二階堂重人という人の本。調べた範囲では、デイトレーダーとしてそこそこ名が知られていて、まともな事を言うと評判も高いが、数年前で
ブログの更新が止まっていて、飽きてしまったか、大損して辞めてしまったかと噂されている。
日中働くサラリーマンはデイトレードが出来ないので、休日の少しまとまった時間と、平日の夜15分・朝の5分を使ったスイング・トレード(2週間以内の短期売買)で、こつこつ儲けましょうという話。株の知識がほぼゼロだったので勉強になった。日本人の投資への知識・関心は低すぎるらしい。米国では子供の頃から投資について教わるのだそう(ホンマかいな)。
備忘録として為になった内容を箇条書きにしておく。
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- 株のリスクには、倒産のリスクと下落のリスクの二種類がある。いわゆる「優良株」(有力企業の株)は倒産のリスクは少ないが、下落のリスクがあるので全く「優良」ではない。
- 株で儲けている人はトレード人口の一割。だから、圧倒的多数と逆のことをすれば勝てる。
- 月の儲けの目標値は、資金の一割(これがトンデモなく高望みなのは後述)。
- 資金は30万円あれば十分だが、利益が大きくなる、コスト(売買手数料)を抑制できる、信用取引(預け金を担保にした資金以上の金額の取引=信用買い+信用売り)ができる、買値の平均値を下げられる(ナンピン)といった理由から多い方がよい。
- 銘柄情報+売買明細書+チャートは印刷して勉強する。
- 天井付近は上昇が加速して「買わなきゃ損!」という心理が働き、買ってしまいがちだが、こうして起こる「高値掴み」は負けパターンの典型。
- 始値(はじめね)・終値(おわりね)・高値・安値を一度に表すローソク足チャートが重要。始値よりも終値が高い場合は白いロウソク(陽線)、逆は黒いロウソク(陰線)で表される。
- 仕掛けには、「順張り」(株価が上昇中に買い、下降中に売る)と「逆張り」(下降中に買い、上昇中に売る)がある。主に逆張りをして、相場によっては順張りも使う、というのがお薦め。順張りばかりしていると負ける。
- カラ売り(注1)(信用売り)を使いこなせば、下降トレンド(株価が下がっている時期)でも利益を出せる。
- 信用買いのリスクは有限だが、カラ売りのリスクは青天井(上限がない)。
- 信用取引はやるべき。ただし、取引は限度額の2/3倍まで、早めのロスカットを徹底。
- 昨日、200円だった株が今日100円になっても、割安とは言わない。
- 株価が一株純資産(=企業の純資産÷発行株数)より安くなっているのが本当の割安株。
- 一株純資産が100円以上で、さらに純利益があれば、その会社の倒産のリスクは低い。
- 株価が低位置のときに、ローソク足に下ヒゲ(安値が始値&終値より安い)が出たら買い(陽線でも陰線でもよい)、と覚える。下ヒゲは長ければ長いほど良い(反発が強い証拠)。
- サラリーマン・トレーダーの週間予定:休日に割安株(一株純資産が株価より高い銘柄)をリストアップ。平日の夜に日足チャート・週足チャートを見て買い条件(低位置・長い下ヒゲ)の銘柄をリストから探す。翌朝、前日の終値より数円高めの指値で寄りつき(市場が開く時間)までに買い注文を出す。買った翌日は、例えば数十円上乗せして指値で売り注文。翌日以降、売れるまで売り注文を出す。
- 手数料を引いて利益が出るようなら迷わず利食い(決算して利益を確定)する。
- 騰落レシオ(=株価上昇銘柄数÷株価下落銘柄数*100)が70%以下は底値圏(下落株が多い)、140%以上は高値圏(上昇株が多い)に対応し、それぞれ、底、天井の前兆。
- 騰落レシオ(25日平均)が70%以下でETF(Exchange Traded Fund:日経平均に連動する投資信託)を買い、140%以上でETFをカラ売りする、というのが最強の勝ちパターン。
- 含み損(所有する株の価値が下がって、もしいま売ったら損する額のこと)が1回のトレードで出る利益分の1.5倍になったら成り行きでロスカット(損切り)(注2)。
- 塩漬け(下落した株をロスカットせず上がるまで待つ)は絶対にしない。
- ナンピン(注3)のリスク管理は、倒産リスクを避ける、タイミングを予め決めておく、10回分くらい買える資金を用意する。
注1:カラ売りとは、信用取引の一つで、持ってない株を証券会社から借りて売ること。証券会社には後から買って返せば良い。したがって、株価が高いところでカラ売りして株価が下がってから買って証券会社に戻せば儲けが出る。例えば、100円でカラ売りして、後から80円で買って返せば20円の儲け。ただし、100円でカラ売りしてその後、その株が上昇すれば原理的には無限に損失が出る。
注2:それでも儲けを出すことはできる。勝率が7割だとすると、10回のトレードで勝つのは7回。1回勝つと平均2万円儲かるとすると、7回では2万*7回=14万手に入る。そして、負けるときは、勝つときの1.5倍の損失とすると、1回の負けで2万*1.5倍=3万円負ける。だから、3回では3万*3回=9万円を失う。すると、10回のトレードで14-9=5万円が手に入ることになる。この正味の儲けは、勝率と1回の儲け額を増やせば増える。
注3:ナンピン(難平)は、買った株の値が下がっているときに、さらに買い足し、買い取り額の平均値を下げるテクニック。例えば、300円で買った株が下がったら、通常、儲けを出すにはその株が300円より高くなるのを待たなくてはならない。しかし、100円まで下がったとき所有している量と同じ量を買えば、株の購入額の平均値は200円なので、200円より高くなるのを待てば、儲けを出せることになる。
100万円の資金で始め、月1割の儲けを5年間出し続けると、その100万円はいくらになるか:
100万円*1.1倍*1.1倍*・・・・1.1倍 (100に1.1を60回掛ける)
=
30,448万円(3億448万円!)
明日からトレーダーとして生きていこうと思います。