『改訂版 金持ち父さん貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』ロバート・キヨサキ著 白根美保子訳 筑摩書房
という本を読んだ。世界で2,000万部売れたベストセラーの改訂版である。
株に関する
100円の古本に出会ってから、地味に金融の勉強は続いているが、最近は投資とかの具体的な方法を学ぶというより、そもそもお金に対する正しい姿勢みたいなもがあればそれを知るのが先だろうと思い、そっち方面の本を読み漁っている状態である。
この本はハワイ在住の日系アメリカ人である著者が9歳のときの話から始まり、自伝風に書かれている。著者は日本でも男子小中学生の殆どが使っている「ビリビリ財布」をサーファー向けに世界で初めて開発し莫大な利益を得て、その後も、不動産、著書などで財を築いた人物である。
ロバート(著者)は大学教授である本当の父さんを「貧乏父さん」と呼んでいて、親友マイクの父を「金持ち父さん」と呼び、二人のお金に関する考えを対比させながら、読者のお金に関する間違った考えを正そうというスタイルで書いている。
この本で主張したいことはシンプルなものばかりで、箇条書きにしてまとめたら数ページで終わってしまうものだと思う。ただ、それを誰にでもわかるように物語風にして、手を変え品を変え何度も説明している。そこが、ベストセラーになった所以であろうし、知っている人にはちょっとくどいと感じてしまうところでもある。
金融リテラシーがまだ完全に身についていない小生にとっては、「薄々は理解していたけど、ここまでハッキリ言ってくれて助かった」という箇所が結構あったのでかなりの収穫があった。書かれている金持ち父さんの6つの教えと、その内容は次のようになる。
- 金持ちはお金のために働かない
- お金の流れの読み方を学ぶ
- 自分のビジネスを持つ
- 会社を作って節税する
- 金持ちはお金を作り出す
- お金のためでなく学ぶために働く
1は、「お金のために働くのではなく、お金に働かせて不労所得を得なければ、どんなに給料が上がっても(支出や税金も増えるので)一生貧乏のままである」ということを言っている。これは、お金持ちの誰もが言う「お金持ちの常識」のようだ。
2は、「資産と負債の違いを理解せよ」ということである。会計学を少し勉強すれば、賃借対照表(資産=負債+資本というバランスが一目でわかる財務表)や損益計算書(収益=費用+利益というバランスが一目でわかる財務表)のことは直ぐに出てくるが、資産と負債の正しい定義を知って、それを人生に応用している人は殆どいないという。金持ち父さんによれば、資産とは「財布にお金を運んできてくれるもの」、負債とは「財布からお金を運び出すもの」と定義される。そして、一般人が犯す最も多い間違いは、持ち家を資産と思っていることだという。金持ち父さんによれば、持ち家は(ローンを組むなどした殆どの場合)負債となる。お金に追われない人生を送りたければ、本当の資産(株、債券、不動産、手形、著作権、物品など)からの収益を増やし、増えた収益でさらに資産の規模を大きくして、資産からの収益で賄える範囲でのみ買い物(負債)をしろと言っている。『マルサの女』の山崎努がいう「コップの水は飲むな」である。
3は、「職業とビジネスは違う」ということであり、その場合のビジネスとは、本当の資産を持つことを意味している。それを説明するのに、マクドナルドの創業者レイ・ロックが「私のビジネスは不動産である」と言ったことが紹介されている。マクドナルドはハンバーガーを売っているだけに見えるが、本当のところは世界最大の不動産所有者で、それが本当のビジネスであると言っている。そして著者は、どんな仕事についている人でも勤め先からの給与に頼るのではなく、仕事を続けながらも独自のビジネス(資産を持つこと)を持たなければ経済的な自立はできないと説いている。
4は、文字通り法律の知識(特に税法)を身に着け、節税しなければ金持ちにはなれないということである。これは、持っている資産の規模によらず身に着けるべき知識なのだそう。印象的なのは、「一般的なアメリカ人が1年働いたとすると、1月から5月までは税金の為に働いている」という話である。そして、そのような状態にならない為の方法は幾らでもあるということが書いてある。
5では、「お金持ちは無からお金を生む」ということの意味を、不動産売買の例もとに説明している。例えば、750万円の評価が付く家だが、抵当流れなので200万円のローンで買えたとする。そのとき、頭金として20万円が必要であったが、それは友達から利息ありで借りておく。そして買ったと同時に600万円で売り出すと、すぐに売れた。そして、20万円を貸してくれた友人には30万円にして返す。この取引では、元の所有者は手放したがっていたので200万円で売れたのでハッピー、頭金を貸してくれた友達も10万円ゲットしてハッピー、750万円の家を600万円で買えた人もハッピー、自分は600-200-10=390万の利益を得て一番ハッピー、という登場人物全員がハッピーという構図になっている。そして最も重要なことは、自分の財布からは1円も持ち出さないで全てを完結している点である。これが「金持ちは無からお金を生む」ということの意味だそう。そして、この手の話は、そこら中にゴロゴロしているという事実を知っているか否かが勝負の分かれ目だという。
6は、職業に就くのは、その職業について給与を得るためではなく、そこでスキルを身に付けるためだと言っている。だから、ある職業に就いて給料が安くても、そんなことには目もくれず、最終的に自分のビジネスを持つスキルを持つために働ける人間が金持ちになれると言っている。
また、上の6つの教えと関連して、金持ちになるためには4つの力が必要だと繰り返し述べているので、それを記しておこう。
- 会計の知識
- お金の流れを読む力
- 投資の力
- 法律の知識