数学における旧漢字使いや昔の呼び方がやはり気になる.
- 共役 vs 共軛はこないだ書いたけど,ある種の共役を随伴と言うこともある.行列のエルミート共役を随伴行列と言ったり,エルミート行列を自己随伴行列と言ったり.
- 線形 vs 線型もこないだ触れた.linear shapeではなくlinear typeなので後者が良い気がする.すると,線形代数より線型代数ということになるのだが,非線形現象を非線型現象とか言い出すと少し病的な感じが出てしまう.逆に,同型写像を同形写像と書いてあるのは見たことがない.因みに,1つの大学のシラバスでも線形代数なのか線型代数なのかは統一されていないこともあるとか.
- 同次 vs 斉次 or 齊次(せいじ)というのもある.斉には「斉(ひと)しい」という読みがあるが,現代ではあまり使われなくなったから同次と言いだしたとどこかに書いてあった.ただ,2次形式などの同次多項式を斉次多項式と言ったり,2階線形微分方程式の同次形y''(x)+ay'(x)+by(x)=0を斉次形といったりもするけど,同次形微分方程式y'(x)=f(y/x)を斉次形微分方程式とは言わない,という不思議さもある.
- 半 vs 準もあるかも知れない.半双線形は準双線形とも言う.因みに,英語では線形がlinearで,双線形はbilinearで,半双線はsesquilinear.sesquiはラテン語で3/2という意味.線形が1で,双線形が2とすると,半双線形は確かに3/2だ.うまく言ったものだ
- 定数(ていすう) vs 常数(じょうすう) vs 恒数(こうすう)もあるか.定数(ていすう)を「じょうすう」と読む人がいるが,それは昔はconstantを常数(じょうすう)と言った名残なのか?と密かに思っている.
- 他には,放物線 vs 抛物線(ほうぶつせん),関数 vs 函数など.数学 vs 數學も入れておくか.